カテゴリー「Books」の167件の記事

2019年5月30日 (木)

本をまとめ買い

10年くらい前から、本は図書館で借りることにしている。
たまに、その中で手元に置いておきたいと思ったものだけ、ブックオフで買う。

今回は、ブックオフオンラインで、チェックしていた本が揃ったのでまとめ買い。

梨木 香歩の中でも、これは本棚に置いておきたかった。
(村田エフェンディ滞土録も欲しかったが、在庫がなかった)

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古い本なのでいつでも借りられるし、実際借りて読み始めたものの、ページ数が多くて貸出期間に読み切れなかった池澤 夏樹。

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常にカバンに入れておく用文庫本としての村上 春樹。
(もう一冊は別に欲しかったわけじゃないけど送料無料にするため)

201905303

ただ、実際買ったものの、はたして読むことがあるのかどうか・・・
なんか、買ってしまうと、所有したことの満足感と、いつでも読めるという安心感とで、なかなか手に取らないんだよね。

だったら買う必要ないじゃん、置く場所もないんだし、ってことなんだけど、まぁ安かったし。

ところで、ブックオフオンラインで初めて買ったけど、ぜんぶ帯がついてたのには驚いた。

* 本7冊 1,596円 ブックオフオンライン

☆ 今日のラン
   TIME 00:35:38
   DIST. 6.3km
   5’39”/km
   510kcal

2019年4月18日 (木)

『カゲロボ』

ブックレビュー ☆5つ

『カゲロボ』 木皿 泉

自分の話
回りの人たちは自分の知らない意思伝達手段(たとえばテレパシーのようなもの)を使っているんじゃないか。
自分だけが、異質な出来損ないの人間なんじゃないか。
学校・クラスや職場で、どこか馴染めないのは、そのせいなんじゃないか。

子供の頃、それからずっと成長してからも、そんな疑念というか妄想を抱くことがあった。
いかにも子供じみた発想だし、それなりに無難にやり過ごしてきたつもりだけど、なんとなく居心地の悪さを感じたりしていた。
まぁ、引っ込み思案で、あまりしゃべらない性格なため、群れたりつるんだりするのが苦手というのが一番の原因なんだけど。

これは、今いる場所に馴染めない、居心地悪さを感じている人たちの、9編の連作短編集。

社会には、誰にも気づかれないように、カゲロボと呼ばれる監視ロボットが紛れ込んでいる。
同級生として。動物として。植物として。

それは、人々を見張っているのか。

自分のことをすべて知っている人がいる。
見守ってくれている。そう思えるだけで人は救われるのかもしれない。

「人が惨めなやつだと思っても、私がそう思わないかぎり傷つかない。傷つくのは、自分自身が惨めだと思ったときだけ」

「自分を傷つけられるのは、自分だけよ」

読み終えたころには、明日からまた頑張ろう、と思えてくる。主人公たちと同じように。

もう大丈夫。

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『カゲロボ』 木皿 泉 著 新潮社

2019年4月 4日 (木)

『日日是好日』

ブックレビュー ☆4つ

『日日是好日』 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ 森下 典子

小説のつもりで読んでいたのだが、エッセイだったようだ。
(ま、どっちでも良いんだけど、エッセイだと知っていたら読まなかっただろうから、良い思い違いだった)

お茶を習って25年、悩み迷いながらも通い続けた著者の、内面の成長ストーリー。

お茶・茶道を学ぶこと、それは単に礼儀作法や技術を身に着けることではなく、季節や天気・自然を五感で味わう心を持つということらしい。 

 「お茶は、季節のサイクルに沿った日本人の暮らしの美学と哲学を、自分の体に経験させながら知ることだった。」

晴れの日も雨の日も、日日是好日、毎日がよい日なのだと。

自己肯定感 心のよりどころ 物事に一喜一憂しない 悠然と構える

読み終えて、ふと思いついたことを並べてみたけど、そんなこと書いてあったっけな。

著者が25年の年月をかけて体得していったことを、この本一冊読んだことで理解できるわけないのだけれど、こんな心有る大人になりたいと深く思った。(もう手遅れだけどさ) 

Photo
『日日是好日』 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ 森下 典子 著 新潮文庫

2019年3月31日 (日)

『その先の道に消える』

ブックレビュー ☆4つ
 
『その先の道に消える』 中村 文則

初めて読む作家で、新聞の新刊案内をみて予約したものの、ジャンルもわからず読み始めた。
間に二つの挿話を挟んだ2部構成になっている。

過去のトラウマから、それぞれに心に闇を抱えた若い刑事の富樫と、ベテラン刑事の葉山。

1部は富樫の目線。
殺人事件の現場で、惹かれていた女性(桐田 麻衣子)の関与を感じた富樫は、桐田を守るために道を踏み外していく。
葉山は、そんな富樫の行動に気づき呼び止めるのだが・・・。

本文との関連が不明な挿話を挟んで、2部は葉山の目線になる。
鋭い観察眼と推理で真犯人に近づいていく葉山。

サスペンスかと思ったが、途中からの緊縛・SMの描写には、うんざりして読むのを止めようかと思った。
その後も、神格化された緊縛や縄と日本民族の歴史、倒錯した性と崩壊していく人格、そして狂気の愛情、と読み進めるのに難儀だったが、葉山への興味で読みすすめた。
冷静沈着で、鋭利かつ聡明だけれど虚無的なところのある葉山、これがまたモテるんだよなぁ。

やがて桐田の素性が明かされ、挿話の関連も分かる。
深い心の傷を負った登場人物たち。
葉山の存在だけが救いのような話だった。 

他の中村の作品を読んでみたいとは、あまり思わないが、葉山を主人公にした作品があれば読みたいと思う。

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『その先の道に消える』 中村 文則 著 朝日新聞出版

2019年3月13日 (水)

『一月物語』

ブックレビュー ☆5つ
 
『一月物語』 平野 啓一郎
 
妖しくも美しい幻想小説。
 
明治三十年、奈良県十津川村の往仙岳山中。
いくつかの偶然から、導かれるように山奥に迷い込んだ主人公 井原真拆は、毒蛇に噛まれ意識を失ったところを老僧に助けられる。
寺で療養する真拆は、毎夜同じ女の夢を見ることに。
 
世間とは隔絶されたような山寺で、真拆はやがて現実と夢と幻の境界を失っていく。
 
夢の女が実在することを知った真拆は、一旦は山を下りるが、村の旅籠で女の出生の秘密を知り、再び山へ向かう。
しかしそれは、自滅の道を突き進むものだった。
 
罪深さゆえ眼を合わすことを拒む女と、命を懸けて女に向かう真拆が、互いの思いを吐露する場面は、やや芝居がかってはいるが鬼気迫るものがある。
 
時代背景に合わせた古典的な表現や旧漢字・古語を多用する文章は格調高い印象だが、いかんせん読み方すらわからない漢字が多くて、前後の文脈から類推して強引に読み進めた。
ただ、内容が難しいわけではないので、慣れればさほど苦になることはなく、いつしか幽玄な世界に引き込まれていく。
 
僕は単行本が好きなので、単行本を借りて読んだが、貸出期限で返却し、レビューを書くために文庫本を借りてみたら、こちらは丁寧すぎるほどルビが振ってあった。
読み方が分かると、文章が音として頭に入ってくるし、意味も推測しやすいので、読むなら文庫本の方が良いと思う。
 
「羸瘦(るいそう)した躰」
「沈黙は瀲灔(れんえん)と満ちていた」
 
いつもは分からない言葉は調べるのだが、これじゃ国語辞典もひけやしないもの。
 
「激しい眩瞑に襲われた。目の前が、玻璃を砕いて日華の下に散らした如く、熠燿たる光に包まれた。」
 
もうこんなの、わからない言葉は飛ばして、雰囲気が掴めれたらいいんじゃない、って言ったら著者に失礼かな。
 
Photo
『一月物語』 平野 啓一郎 著 新潮社
 
 
このところ体が重いとはいえ、今くらいの体重の時期は何度もあったのに、どうしてこれほど走れないんだろうってくらい走れない。
 
☆ 今日のラン
   TIME 01:09:18
   DIST. 10.0km
   6’55”/km
   804kcal 

2019年1月30日 (水)

『銀河食堂の夜』

ブックレビュー ☆4つ

『銀河食堂の夜』 さだ まさし

東京は葛飾の下町商店街の中ほどにできたカウンターだけの小さな店。
店の名は銀河食堂だが、食堂ではなく、スタンドバーなのに居酒屋なのだと。
品が良く、口数少ない謎のマスターに惹かれて、夜ごと集う常連客。

町内の、生きるのに不器用だったり不運が重なった人間たちの、いかにも昭和な感じの人情噺。
顛末を知る常連が語り部となる、6つの夜の連作短編集。

壁に掛かった柱時計が、ボオンと鳴って今宵も更けていく。

・ヲトメのヘロシ始末『初恋心中』

・オヨヨのフトシ始末『七年目のガリバー』

・マジカのケンタロー始末『不器用な男』

・まさかのお恵始末『小さな幸せ』

・むふふの和夫始末『ぴい』

・『セロ弾きの豪酒』

最終話で明かされるマスターの謎。

全体を通して、いろんな意味でなんともクサい。
だけど、クサいけど、悪くない。
人に向けられた著者の目の優しさ・暖かさが随所に感じられるから、かな。

少しは人に甘えたり頼ったりすれば良いのに。
それができない、かたくなな生真面目さがいじらしい。

Photo
『銀河食堂の夜』 さだ まさし 著 幻冬舎
 

2019年1月 6日 (日)

『常設展示室』

ブックレビュー ☆4つ

『常設展示室』 原田 マハ

美術館の常設展示室で、偶然目にした絵画から何かを示唆されたように、あるいは背中を押されるように、新しい一歩を踏み出す女性たちの、6つの短編集。

常設展示というコンセプトの中で、5編の主人公がアートに関わる職業、4編が40代、5編は独身、と設定に広がりが欠けるのが残念な気がするが、それでも読ませてしまうのはさすが、なのかな。

ちょっと出来すぎな話だが、ラストの「道」が一番良かった。
原田マハの術中にはまったように、涙腺が緩む。

Photo
『常設展示室』 原田 マハ 著 新潮社
 

☆ 今日のラン
   TIME 01:03:27
   DIST. 10.1km
   6’16”/km
   813kcal 

2018年12月29日 (土)

『55歳からのハローライフ』

ブックレビュー ☆4つ

『55歳からのハローライフ』 村上 龍

”人生100年時代” とか ”一億総活躍社会” とかって、正直 勘弁してくれ と思う。
趣旨は素晴らしいと思うが、それを国から言われると、「100歳まで生きて、ずっと働いて税金を納めてくれ」って言われてる気がしてしかたない。

55歳、現役としての最終コーナーを曲がって、そろそろゴールが見えるかと思ったら、あそこは折り返しで、またスタート位置まで戻りなさい、と言われたような気分だ。

そんな55歳がもうすぐ終わりそうなとき、ふとこの本のことを思い出した。
もしかして、これからの人生の道標になるかなと。

55歳頃を転機として、もう少しだけ歳を重ねた人たちを描いた5つの連作中篇。
忙しく過ごして、それまで目を背けていたことに直面せざるを得なくなる年齢なのかな。

離婚からの婚活、リストラ後の再就職、早期退職、定年退職後の夫婦関係、リタイアしてからの恋心。
人生の折り返し点を過ぎて、それぞれの転機を迎えて何とか「再出発」を果たそうとする主人公たち。

共通するのは、「それまでの人生で、誰と、どんな信頼関係を築いてきたか」 (あとがきより)。

同僚と、友人と、家族と。
”信頼関係” か。この歳になってふりかえると、いささか心もとないが、せめて今からできることはやっていこうと、少しだけ前向きになれたかな。

「人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。」 P.70

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『55歳からのハローライフ』 村上 龍 著 幻冬舎 

2018年12月26日 (水)

『ある男』

ブックレビュー ☆5つ
 
『ある男』 平野 啓一郎
 
子供の頃、鏡に映った自分の顔を見て、ひどく気味悪くなったことを思い出した。
そこに映っている人間の体を受け持っている自分、という意識に気づいて、落ち着かないような、恐ろしいような、不安な気持ちになった。
そんな感覚は、大人になって忘れてしまったのか、慣れてしまったのか。
 
他人になることで、そんな不安を他人のものにできる、ということなのか。
的外れかもしれないが、ふとそんなことを思った。
 
結婚して3年9ヵ月、幸せな家庭を築きながら、不幸にも仕事中に事故死した男は、全くの別人だった。
こう書くと、何を言っているのか意味が分からないが、ようするに他人になりすましていたのだ。
その戸籍も過去も自分自身のものとして。
 
男の正体を調査することになった弁護士 城戸を主人公として、城戸とバーで偶然知り合った作家(平野)がその話しを小説に書いた、という形をとっている。
 
ミステリー仕立てで物語は進行するが、主人公は探られる男ではなく、探るほうの城戸。
タイトルの”ある男”というのは、城戸なのだと思う。
痛々しいまでの生真面目さ。
在日(3世で、本人はなんら意識することなく生きてきたのだが)という出自、弁護士という職業が、城戸を生き苦しくしているのか。
 
他人の過去をそのまま自分の過去として生きる。
それにはそうせざるを得ないような、相当の辛い家庭事情や家族関係があった。
しかし、他人になりすましたところで、その人自身が変わるわけではない。
ただ周囲の目が変わるのだ。
周囲からどう見られているかで、人は変わるということか。
周囲がみなす自分像に縛られる、ということは多分にあるのだろう。
 
城戸はたまたま入った店のカウンターでバーテン相手に、自分が探している男を真似て、その男になりすますことで、つかの間開放されたような感覚になる。
違う人間として振舞うことで、自らを客観視できたのかもしれない。
 
謎を追う中で城戸が出会った、人生のモットーが三勝四敗主義という女性が、魅力的だった。周囲の目をものともしない芯の強さを感じた。
 
そして、城戸の努力の甲斐あって、すべてが明らかになる。
そのことで、残された家族は解決できない問題を抱えることになるが、未来にかすかな光を感じさせるエンディングは良かった。
 
ところで、平野 啓一郎の小説は難しい、と思う。
言い回しが難しくて、一度で理解できなくて、何度も読み返すこと度々。
知識・教養が高いのは充分にわかるが、それをひけらかせすぎかなとも思う。
ただ、それが文章に深みをもたせているのは間違いない。
 
諦観のようなもの
「死者は、あちらから呼びかけることは出来ず、ただ呼びかけられることを待つだけである。」
 
「年の瀬の静けさが、一年分の重みを、憂鬱にしっかりと加えていた。」 なんて表現、素敵だなと思う。
 
Photo
『ある男』 平野 啓一郎 著 文藝春秋

2018年12月 1日 (土)

『オールド・テロリスト』

ブックレビュー ☆5つ

『オールド・テロリスト』 村上 龍

村上 龍の小説を読むのは何年ぶりだろう。
おそらくここ20年くらい読んでないが、それまでは結構読んできた。

僕は龍の小説を、大きく3つに分類している(もちろん、どれにも当てはまらない作品もあるけど)。

『コインロッカーベイビーズ』 『愛と幻想のファシズム』 『五分後の世界』といった過激系
『69』 『テニスボーイの憂鬱』 等の娯楽系
『ラッフルズホテル』 『トパーズ』 等の享楽系

好きなのは過激系だが、読むにはそれなりの覚悟や体力が必要な気がする。
体や心が万全な状態でないと、読み切る自信がない。

で、この 『オールド・テロリスト』 、漫画チックな表紙イラストを見て娯楽系かと思ってしまったが、しっかりと過激系だ。

社会でなにかと軽視あるいは蔑視されがちな老人だが、戦争から食糧難を経て、高度成長を担い、「殺されもせず、病死も自殺もせず、寝たきりにもならず生きのびた」 老人たちは、そうとうにタフなのだ。
そんな老人たちが、自分を見失った若者を使ってテロを企てる。

老人たちの一人で、物語の中で重要な役割を担う心療内科医アキヅキが、主人公のセキグチにカウンセリングを行う場面は印象的だった。
実際に、『羊たちの沈黙』 のレクター博士の台詞を引用した言葉も使われているが、アキヅキが磨りガラス越しにセキグチと会話するシーンは、レクター博士の独房を訪れたクラリスが鉄格子を挟んで面会する場面を想起させる。
レクター博士がクラリスへの二人称を巧みに変えたように、アキヅキは一人称やセキグチへの敬称を使い分ける。
彼が語る若者分析は、辛辣ではあるが、心地良さを感じる。

テロリストのリーダー、ミツイシは言う。
「自分が自分であり、本当の自分を生きていくしかないという事実は、とても辛い。そのことをごまかすこと、ごまかしてくれる何か、それだけが人気があるし、商売にもなる。わたしたちは、そんなごまかしが許せない。許せない場合は、破壊するしかない」

自分であり続けることが、とても難しい時代。
テロは肯定できないが、日本の現状を憂う老人たちの思いには共感できる。

大作で読むのに疲れたが、久しぶりに村上 龍を堪能できた。

Photo
『オールド・テロリスト』 村上 龍 著 文藝春秋 

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