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カテゴリー「Books」の151件の記事

2018年6月30日 (土)

『さざなみのよる』

ブックレビュー ☆5つ

『さざなみのよる』 木皿 泉

木皿 泉さんの2作目の小説。

末期のがんに侵されたナスミは、富士山が見える病床で、残される夫や姉・妹、同居する大叔母のことを気遣いながら、穏やかな気持ちで最期を迎える。
享年43。

ぽちゃんと落ちた石が水面に立てる波紋のように、生前のナスミに関わった人々の心にナスミの思いが広がっていく。

「よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくすッ!」 その言葉通りに生きた。
がさつな印象だが、何故か惹かれる。
ナスミの言葉は、生きていく人たちの心の支えになっている。

命が宿ること、生きることは祝福なのだ。

主人公の死から始まる物語だが、重くも暗くもない。
むしろ優しく暖かい思いが、さざなみのように心を揺さぶる。

おんばざらだるまきりくそわか(生きとし生けるものが幸せでありますように)
 

Photo
『さざなみのよる』 木皿 泉 著 河出書房新社
 

身体がだるくて半日ダラダラと過ごし、これではいけないと義務感半分で走ったのに、予想外に良いペース。
日射しは無かったが、蒸し暑いこの時期にキロ5分10秒台って、わからんもんだな。

☆ 今日のラン
   TIME 01:04:22
   DIST. 12.1km
   5’19”/km
   968kcal 

2018年6月18日 (月)

『じっと手を見る』

ブックレビュー ☆4つ

『じっと手を見る』 窪 美澄

初めて読む窪 美澄さんの小説。
恋愛小説というくくりのようだが、甘さやほろ苦さは無い。

富士山を間近に見る小さな町で、介護士として働く海斗と日奈。
休日にでかけるのは、町に一つのショッピングモール。
ドライブの行先は、樹海の近くの湖。

他に出てくるのは、店がうまくいかず自殺しそこねた父親、奥さんの浮気が原因で離婚した引きこもり、いじめで学校へ行かなくなった中学生、母親から虐待された発達障害の子供、など。
社会的な弱者とか敗者に分類されるような人ばかり。

象徴的に描かれるのは、日奈の住むお化け屋敷のような家の庭。
雑草で荒れた中で蔓を伸ばす朝顔と、そこに支柱を立てる海斗。

ここで描かれる人間関係は、みな朝顔と支柱のよう。
日奈は、自分をよるべないと思う。
誰でもそう思う夜があるんじゃないかと。
だからこそ、支えてくれる人が必要なんだろうな。

最後の1ページで、これが恋愛小説だったことを思い出す。
海斗に声をかける日奈。
やっと自分の気持ちを言葉にできたことに、かすかな希望を感じた。

そういえば、今日発表された直木賞候補に本作品が入っていた。


Photo_2
『じっと手を見る』 窪 美澄 著 幻冬舎

2018年4月15日 (日)

『AX アックス』

ブックレビュー ☆4つ

『AX アックス』 伊坂 幸太郎

伊坂 幸太郎の小説は気が抜けない。
蒔いた種はきちんと回収するし、何気ないエピソードが後で繋がったりするので、さらっと読みとばしたりしていると、後で何度も戻って読み直すことになる。

『グラスホッパー』 、『マリアビートル』 に続く殺し屋シリーズ。
前2作に登場する殺し屋たちもちらほら出てくるが話しのつながりは無いので、これだけ読んでも楽しめる。

一流の殺し屋なのに、気の毒なほど恐妻家の兜とその家族を中心に話が進む。

『グラスホッパー』 のような緊迫感や、『マリアビートル』 のようなスピード感は無く、淡々と話が進んでいく印象で物足りなさもあるが、物騒な場面の連続のわりに殺伐とした感じは無く、むしろ人情味を感じる。
兜と高校生の息子との会話や、ラストの奥さんとの出会いのエピソードは心温まる。

近頃はまともに話すことも少なくなった、この春に高校を卒業した息子が、とてもいとおしくなってきた。

「やれるだけのことはやりなさい、それで駄目ならしょうがないんだから」 兜の妻

Ax
『AX アックス』 伊坂 幸太郎 著 角川書店 

☆ 今日のラン
   TIME 01:10:57
   DIST. 12.0km
   5’54”/km
   940kcal 

2018年3月22日 (木)

『女王さまの夜食カフェ』 ~マカン・マランふたたび

ブックレビュー ☆4つ

『女王さまの夜食カフェ』 ~マカン・マランふたたび 古内 一絵

『マカン・マラン』 の続編。

昼の店の従業員のまかないを、夜食として提供するカフェ ”マカン・マラン” 。
抗議に来た人さえも 暖かく迎える店主シャールの、心をほぐしてくれる言葉と身体をいたわる料理。

今回は、季節をめぐる4話のうちの3話は親子関係がテーマになっている。
親子って、面倒だったり、やっかいだったりしても、切ることのできないものだからね。
「親子って難しいのよ。一番近くにいる他人ですもの」 シャール

悩んだり苦しんだりしている客には優しく言葉をかけ、息抜きに訪れる客はほっといてくれる。
こんな店で、「ゆっくりしていってちょうだい」 なんて言われたら本当に長居をしてしまいそうだ。

口を開けば悪態ばかりの柳田(シャールの学生時代からの友人であり、店の常連)が娘のことで悩むようすや、シャールに見せる優しさも良かった。

(恐らく自分が認めなかろうと、理解しなかろうと、娘には娘の人生があり、その責任のすべては最終的に娘自身が負っていくしかないのだから。
だとしたら、たとえし失敗すると分かっていても、その挑戦を選んだ娘を見守ってやるくらいのことしか、親にできることはないのかもしれない。) 柳田

きっと子供の成功を祈りながらも、楽観的に信じきることができないところが身に染みる。
 

「あなたも、自分のことを ”ただの” とか ”つまらない” とか言っちゃ駄目。それは、あなたが支えている人や、あなたを支えてくれている人たちに対して、失礼よ」

「誰かと一緒にいたくて、でも、しがらみのある友人や知人とは喋りたくない。そんな矛盾した人恋しい夜が、誰にでもあるものよ」

「一旦力を抜かなきゃ、新しい力は湧かないものよ。たまにはサボりなさい」

Photo
『女王さまの夜食カフェ』 ~マカン・マランふたたび 古内 一絵 著 中央公論新社

ビデオの選択設定のための一時中断が脚の休憩になったおかげもあるかもしれないが、順調に脚力が伸びていると思う。

☆ 今日のバイク(3本ローラー)
   TIME 00:45:00
   DIST. 27.0km
   Ave. 35.9km/h
   Max. 39.7km/h

2018年3月14日 (水)

『キラキラ共和国』

ブックレビュー ☆4つ

『キラキラ共和国』 小川 糸

普通ならまず手に取らないタイトルの本書を読もうと思ったのは、これが『ツバキ文具店』の続編だから。
そういえば、「キラキラ」は鳩子がバーバラ婦人から教わった、辛いときや悲しいときに心の中で唱える魔法の言葉だった。

しかし読んでいると、鳩子は多部未華子だし、モリカゲさんは上地雄介だし、男爵は奥田瑛二、バーバラ婦人やマダム・カルピスは・・・もうそれぞれの顔が思い浮かんでしまって。
良くも悪くも、昨年ドラマ化された『ツバキ文具店』のキャスティングがあまりにしっくりきたからなんだけど、いまひとつ物語を自由に楽しめなくなってしまった。

今回も様々な代書を依頼される鳩子、それぞれの手紙は悪くはないが前作ほど心に響いてこない。
おそらく、代書屋の仕事ぶりが中心だった前作と違い、鳩子の新婚生活に主眼が置かれていて、代書の依頼に対するこだわりや気遣いが前作と比べて少なく、手抜きに感じたからだと思う。

それでも、草木の変化に季節の移ろいを感じながら、ゆったりとした時間が流れる鎌倉での鳩子の暮らしぶりはとても素敵だ。
また一年、鎌倉で暮らした気持ちにさせてくれる。

In bocca al lupo! オオカミの口の中へ:”幸運を” という意味のイタリアの慣用句らしい (静子さんからの手紙より)

Photo
『キラキラ共和国』 小川 糸 著 幻冬舎

☆ 今日のラン
   TIME 01:15:18
   DIST. 14.0km
   5’22”/km
   1,102kcal 

2018年1月23日 (火)

『マカン・マラン』

ブックレビュー ☆4つ

『マカン・マラン』 古内 一絵

人目につかない路地裏で深夜だけ営業するカフェ ”マカン・マラン” の店主は、ピンクのウィッグとド派手なドレスを着た中年のドラァグクイーン。
ガムランの流れる薄暗い店内で、悩みを抱えた客に提供されるのは、体に優しい野菜中心の料理とハーブティー、そして心に響く言葉。
料理は、単に見た目が美しいとか味が絶妙とかいうのではなく、素材の持つ効能を考えてお客の体調や精神状態に合わせて作る。
そして自らが性の問題や病で苦しんできたからこそ言える深みのある言葉。

奇抜な設定だが、この手の小説がたいがいそうであるように、美味しそうな料理にそそられるのは当然として、キャラクター設定や文章・言葉使いがとても丁寧で、読みやすい作家さんだと思う。
すでに続編が2冊出ているようなので、楽しみ。

「苦しかったり、つらかったりするのは、あなたがちゃんと自分の心と頭で考えて、前へ進もうとしている証拠よ」

「悩むことが大切な時期だってあるのよ」
 

Photo
『マカン・マラン』 古内 一絵 著 中央公論新社

冷たい風が強くて寒かったが、モンベル・ジオラインにアンダーアーマー・エクストラコールドギア、グローブはアンダーアーマーのSTORM、ネックウォーマーと寒さ対策を万全にしたら大丈夫だった。

☆ 今日のラン
   TIME 01:10:42
   DIST. 12.0km
   5’53”/km
   951kcal 

2018年1月10日 (水)

『星に降る雪/修道院』

ブックレビュー ☆3つ

『星に降る雪/修道院』 池澤 夏樹

10月の入院中に読了。

「星に降る雪」と「修道院」の中編2作。
死んだ経緯はまったく異なるが、どちらも友人の死に対する贖罪の日々を送る男の物語。
最後まで救いは無いが、「星に降る雪」の方が好きだな。

Photo
『星に降る雪/修道院』 池澤 夏樹 著 角川書店

☆ 今日のラン
   TIME 01:16:06
   DIST. 13.3km
   5’43”/km
   1,048kcal 

2018年1月 8日 (月)

『素敵な日本人』

ブックレビュー ☆3つ

『素敵な日本人』 東野 圭吾

9つの短編ミステリーとSF。

正月の決意・・・義理と人情
十年目のバレンタインデー・・・友情と執念
今夜は一人で雛祭り・・・面従腹背
君の瞳に乾杯・・・狐とタヌキの化かし合い
レンタルベビー・・・長寿と科学の進歩
壊れた時計・・・完全犯罪のためにしたことが
サファイアの奇跡・・・子供と猫の絆
クリスマスミステリ・・・嵌めたつもりが嵌められた
水晶の数珠・・・これが親心

Photo
『素敵な日本人』 東野 圭吾 著 光文社
 

☆ 今日のスイム(安城スポーツセンター)
   DIST. 3.0km
   (450m、1,500m、左ブレス 300m、プル 50m×5、キック 50m×5、キックdr 50m、200m)

2017年10月16日 (月)

『おいしい水』

ブックレビュー ☆3つ

『おいしい水』 原田 マハ

まだスマホも携帯電話もない時代。
神戸を舞台にした、19歳の女の子の切ない恋心。
知らないことばかり、毎日が新鮮で、刺激的で、純粋に吸収していける年頃。

気が付けば3か月も本を読んでいなかった。
85ページの短いラブストーリーに、無機質な絵が10数ページ。
久しぶりに本を読むには、そして病院の待合室での時間つぶしには、ちょうど良かった。

Photo
『おいしい水』 原田 マハ 著 ・ 伊庭 靖子 画 岩波書店

2017年6月30日 (金)

『蜜蜂と遠雷』

ブックレビュー ☆4つ

『蜜蜂と遠雷』 恩田 陸

初 恩田 陸。
以前から気になっていた作家だが、今まで何故か手にとることがなかった。
今回は直木賞を受賞されたということもあり、図書館で予約。
500ページを超える大作に、遅読の僕は2週間で読み切れるか心配したが、無事読了。

国際ピアノコンクールに参加した若者たち(主に4人)の物語。
第1次予選から2次・3次そして本選まで、彼らの弾く楽曲を、音を、情景や風景そして感情や心情という言葉の表現に換えて伝える筆致は、クラッシック音楽には疎くて曲自体はまったく知らない僕にも、十分伝わってきたし感じることができた。

コンクールの最中にコンテスタント同士があれほど打ち解けられるのだろうかとは思ったが、同じ苦しみを味わってきたからこそ一瞬で心通じ合うものもあるのかもしれない。
そしてお互いに感じあうことで、さらに成長・進化していくさまは、回を重ねるごとに高まっていく観客の反応を通して、その場にいるかのように胸が弾む思いがした。

ラストで主人公の少年は想う。
「耳を澄ませば、こんなにも世界は音楽に満ちている。」
それは、作られた音楽のことではなく、自然界にあるさまざまな音。
そんな音を、音楽として感じ取れる感性・才能って素敵だなぁと思う。
 

Photo_3
『蜜蜂と遠雷』 恩田 陸 著 幻冬舎

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