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2020年5月 4日 (月)

『ライオンのおやつ』

ブックレビュー ☆5つ

『ライオンのおやつ』 小川 糸  

ステージⅣ。
余命を告げられた海野 雫(33歳)は、残りの人生を瀬戸内に浮かぶ小島で過ごすことを決断する。
そして、これからはいい子を演じるのはやめよう、正直に生きようと。

ライオンの家という名のホスピスでは、毎朝違う味のお粥が出される。晩御飯には島で採れた柑橘類をふんだんに使った料理や瀬戸内の魚。
そして、毎週日曜日にはゲスト(入居者)のリクエストに応える、おやつの時間がある。
人生の最後に、もう一度食べたい思い出のおやつ。

痛みを緩和する様々な療法と、滋味あふれる食事で、身体も心も少しずつ死を迎える準備をしていく。
それまでの人生を悔いたり、運命を恨んだりしながらも、やがて穏やかに最後の時を迎えるゲストたち。

ライオンの家を運営する。マドンナの立ち居振る舞いが美しい。
「誰もが、自分の蒔いた種を育て、刈り取って、それを収穫します」

雫は考える。
どんな風に死を迎えるかは、どんな風に生きるかということだと。

平凡に毎日を送れるというのは、すごく幸せなことなのだな。
新型コロナウィルス感染拡大防止で、様々なことが制限されている今だから、よけいにそう思う。

とても美味しい小説だった。

「ごちそうさまでした」

そういえば、マドンナがホスピスに着いた雫に 「ライオンの家で、人生の醍醐味を、心ゆくまで味わってください」という言葉とともに用意していたのが蘇(そ)だった。
牛乳を2~3時間火にかけて混ぜ続ける、乳から得られる最上級のおいしいものだと。

長引く休校のあおりで牛乳の消費量が減っている今、家にいる時間がたくさんあって、牛乳を大量に使うということで、蘇を作る人が増えているんだとか。
今度の休みの日、作ってみようかと思ったが、3時間もコンロ使ってたら、邪魔だからどいてくれと言われるな。

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『ライオンのおやつ』 小川 糸  著 ポプラ社

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