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2020年1月28日 (火)

『夢見る帝国図書館』

ブックレビュー ☆4つ

『夢見る帝国図書館』 中島 京子

図書館好きな僕としては、このタイトルを見て読みたくなって、すぐに図書館に予約を入れた。

作家のわたしは、上野公園のベンチで偶然知り合った喜和子さんという初老の女性から、図書館を主人公にした小説を書いてほしいと懇願されるところから物語が始まる。
図書館とは、明治に出来た日本で最初の帝国図書館のこと。

端切れをはぎ合わせて作ったコートと、頭陀袋めいたスカートという奇妙な装いで、くったくのないチャーミングな笑顔の喜和子さん。
馬鹿げているが、喜和子さんは図書館の妖精なんじゃないかという気がしていた。

主人公のわたしが書いたという設定なのだろう、作中ところどころで挿入される『夢見る帝国図書館』というタイトルの小説は、洋行帰りの福沢諭吉が日本にも図書館の必要性を唱えるところから始まる。
単なる図書館の歴史というより図書館の自伝のような、図書館を訪れた文士たちとの交友録のような物語。

そして、少しずつ明かされていく、喜和子さんの出生から戦後の生活、そして現在に至るまでの人生。

帝国図書館と幼い喜和子さんが出会うところで話しは終わる。

装丁が良い。
図書館に半分住んでいたようなものだと打ち明けた喜和子さんの言葉をイメージしたのか、書棚に並ぶ蔵書の一冊の背表紙が喜和子さんが住んでいた狭い路地の突き当りの古い木造家屋の玄関につながっている。

日々は「忙しい」という、感じの悪い呪文を唱えれば瞬く間に慌ただしく過ぎて行ってしまう。

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『夢見る帝国図書館』 中島 京子  著 文藝春秋

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