« ゆず湯 | トップページ | 12/27のワークアウト »

2019年12月25日 (水)

『アンジェリーナ』

ブックレビュー ☆5つ

『アンジェリーナ』 小川 洋子

古書店で何気なく見た棚の、一冊の背表紙に目を惹かれた。
僕が知っているその名詞はひとつしかない。
そして、それはまさしく、その名詞だった。

”佐野元春と10の短編” とサブタイトルにあるとおり、作家 小川洋子が音楽家 佐野元春の楽曲から着想を得て書かれた短編集。

収録されている短編と副題、物語のモチーフは以下の通り。

・アンジェリーナ - 君が忘れた靴 -
 踊れなくなったバレリーナのトウシューズ

・バルセロナの夜 - 光が導く物語 -
 図書館で出会った男から託されたペーパーウェイト

・彼女はデリケート - ベジタリアンの口紅 -
 レンタルファミリーとして派遣される彼女と口紅

・誰かが君のドアを叩いている - 首にかけた指輪 -
 街中にひっそり建つ温室と失われてゆく体の記憶

・奇妙な日々  - 一番思い出したいこと -
 突然訪問してきた身勝手なおばさんが作る地図

・ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 - 水のないプール -
 海辺のリゾートホテル・ナポレオンフィッシュのいない水族館

・また明日・・・ - 金のピアス -
 TVニュースのエンディングに流れる声

・クリスマスタイム・イン・ブルー - 聖なる夜に口笛吹いて -
 クリスマスに思い出す二つの風景

・ガラスのジェネレーション - プリティ・フラミンゴ -
 嘘をついて林間学校を休み彷徨った夜

・情けない週末 - コンサートが終わって -
 コンサートの帰り道に迷い込んだ寂れた公園

失ったもの、損なわれたもの、亡くなった人、思い出せないこと
忘れていた心の隙間に、そっと手を当ててくれるような物語。
 

ところで、何かの拍子に思い出して、読みたくなる文章がある。
それが短編小説だったりすると、どの本に収録されていたのか探し出すのに苦労するが、今回はすぐに分かった。

飛行機の中、クリスマスに会えない恋人にむけて書く手紙。
クリスマスに思い出す、つつましくも切ない二つの風景のこと。

Photo_20191225172601thumb1
『アンジェリーナ』 小川 洋子 著 角川文庫

大切な人も 離れてゆく人も
メリー・メリー・クリスマス

« ゆず湯 | トップページ | 12/27のワークアウト »

Books」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ゆず湯 | トップページ | 12/27のワークアウト »