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2016年8月 9日 (火)

『調律師』

ブックレビュー ☆4つ

『調律師』 熊谷 達也

ピアノの音に匂いを感じる調律師 鳴瀬 玲司が主人公の7編からなる連作短編集。

1話ごと、感じる匂いからピアノの問題点を探して調律・整音していく過程は、推理小説の謎解きのようで面白い。

ところが、6話の途中で様相が変わる。
作者がこの作品を執筆中に起きた東日本大震災。
仙台に生まれ、気仙沼で暮らしたこともある作者には、震災後に以前と同じように小説を書けなくなったそうだ。

それは被災地を思う作者にとって仕方のないことだったかもしれない。
でもなぁ、物語の中の人まで被災者にすることはなかったんじゃないか、と。
もともと震災とは関係なく書かれていた小説なんだから、そのまま当初の構想どおりのものを読みたかった。

エンディングも良かっただけに、残念。

Photo
『調律師』 熊谷 達也 著 文芸春秋

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