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2014年11月16日 (日)

『冬虫夏草』

ブックレビュー ☆4つ

『冬虫夏草』 梨木 香歩

冬虫夏草(とうちゅうかそう)とは、蛾の幼虫に寄生して、蛹(さなぎ)になったときに体表を突き破って地面から生えるキノコの一種で、根っこ部分は蛹の外観のままらしい。
冬の間は虫(幼虫)だったものが、夏になると草(キノコ)に変わるようにみえることからこんな名前になったって。
このシリーズの 『家守奇譚』や『村田エフェンディ滞土録』という直接的なタイトルと比べると、ちょっと奇異に感じたこのタイトルだが、最後まで読むと本作品を象徴していることがわかる。
内容としては『家守奇譚』の流れをひきつぎ、主人公の綿貫が行方不明になった飼い犬のゴローを捜しに旅に出る話。
狸は言うに及ばず、河童や竜やイワナも当然のように人の姿になって出てくるし、幽霊・死霊や生霊だってごく自然に現れる。
むしろ蝦蟇(ガマガエル)やイモリがそのままの姿・生態で出てくることに違和感を覚えるほどだ。
そして、綿貫が旅の途中で出会う人々はみな親切で優しく、心の広さというか余裕を感じる。
神主は、葬儀に紛れて振る舞い目当てにやってくる河童やイモナ(イワナのこと)を追い出さないことを問われて 「河童に生まれたりイモナに生まれたり、ひとに生まれたりは、わしら、選べへんもん。」 と答える。
また主人公も、熱があるといって秋の川に身を浸す男に対して“乱暴なことをする”と思いつつ、「自分の尺度で人の慣習をとやかく云うべきではない」 と考える。
このシリーズの心地良さは、そんな精神的な豊かさあるいはしばしば感じる諦観のようなものからくるのかもしれない。

河童は綿貫に言う。
「なに、それは生物一般に云えることではないでしょうか。そのときどき、生きる形状が変わっていくのは仕方がないこと。それはこういう閉ざされた村里に住む人々でも同じことです。人は与えられた条件のなかで、自分の生を実現していくしかない。」 P.258

Photo
『冬虫夏草』 梨木 香歩 著 新潮社

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