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2014年3月27日 (木)

『氷山の南』

ブックレビュー ☆4つ半

『氷山の南』 池澤 夏樹

少女が女(母)になるには、10ヶ月の不自由と苦痛と時には生命の危険すら伴う。
それに比べて少年が男(父)になるのはあまりにたやすい。
もちろん生物学的な意味で。
だから、自覚と覚悟のない男が安易に父になることの無いように、大人の男になるための儀式が必要だったのではないかと思う。
死を意識するほどの試練を課せられて、それを乗り越えたものだけが男として社会(部族)に認められた。

アイヌの血を引くジンは、ニュージーランドに留学しそのままアルバイトをして過ごしていた。
少年というには大人びて、青年というには幼さの残るジンは本能的にそんな儀式を必要としたのかもしれない。
彼がとった行動は、南極へ向かう船への密航。

そして本作品のもうひとつのテーマ、人類の傲慢はどこまで許されるのか。
ジンが乗った船の目的は巨大な氷山をオーストラリアまで曳航し、水が不足している地域の灌漑用水として利用することだった。

曳航する氷山へキャンプに行き、天候悪化で戻れなくなった数人が時間をもてあまし、思い思いに語るシーンはなかなか素敵だ。

池澤 夏樹の小説は派手さはないが、何故か心惹かれる。

「でも、私は惹かれるのよ、すべての種が調和する静謐な地球の姿に。」 P.247 

Photo
『氷山の南』 池澤 夏樹 著 文藝春秋

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