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2013年8月18日 (日)

『想像ラジオ』

ブックレビュー ☆4つ半

『想像ラジオ』 いとう せいこう

本書を読み終えて、正直言うときちんと理解できているのかいまひとつ自信がない。
だから、このレビューはもしかしたらネタバレになっている部分があるかもしれないし、まったくトンチンカンな解釈かもしれない。

地震とその後の津波で、気がついたときには杉の木の高い枝にひっかかっていた芥川 冬助。
スタジオもマイクも無い樹上から、彼はDJアークとして想像力で発信し始める、それが想像ラジオだ。
そのラジオを聴く事が出来るのは、もう”この世”にはいないが、”あの世”にも行ききれない人々らしい。
DJアークの元にはぞくぞくとリスナーからメールや電話が届くが、一番反応が欲しい妻子からは何の連絡もない、それは喜ぶべきことなのか。

DJアークはもとより、そのリスナーたちは自らの身に起こったことが良く分かっていないのだが、想像ラジオを聴いていくうちに状況を理解し、気持ちの整理をし、あるいは残してきた人を思いやり感じることで心にけじめをつけてあの世へ旅立っていく。
災害や不慮の事故で思いがけず突然亡くなった人たちにとって、もしこのような機会があったとしたら、それはひとつの救いになるのかもしれない。

物語の終盤、21歳の女性から1通のメールが届く。
それは彼女自身が言うように、「一番退屈な普通の、でもなんか愛すべき一日」を詳細に綴ったものだ。
なんてことのない、平凡な日常なのだが実のところ、僕はこのメールのくだりを読んでいる時が一番辛かった。
そんな一日こそが、”かけがえのない一日” ”愛すべき一日” であり、その繰り返しが生きてるってことなんだろう。
死ぬということは、そのような愛すべき一日を永久に失ってしまうことなんだよな。
   

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『想像ラジオ』 いとう せいこう 著 河出書房新社

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